- トゥシューズ−
こどもAが9才の時先生から許可がおり、
トゥシューズがはけるようになった。
さっそくチャコットへ行った。
最初にはいたのは「コッぺリア」。
私がはくわけじゃないけどその
ピンクサテンの光沢に母は魅せられてしまった。
なんという非日常さ!
主婦の生活の対極にあるもんね。
そして驚いたのは、その底の硬さ。
これはいてどーやって踊るの? いや
どーやって立つのよ!
摩訶不思議なしろものだった。
トゥパットなるものの存在を知った。
国産のものはリボンつきで
かかとにゴムを縫い付けるのも知った。
とにかくバレエに関していうと
針を持つのを億劫がってはだめなこと。
めんどくさがりのこの母、自分のためだったら
ぜぇったいやらんわー
「甲が出る足」とか「X脚」
なんてなんのことだか全然知らなかったし
それだけじゃなくて、
ほとんど何も知らなかったな。
バレエを習うということがどんなに
お金がかかるかということさえ
ほんとに知らなかった。
新しいトゥシューズ抱えて
にこにこしていた幼い日のこどもAの
笑顔が今も目に浮かぶ。
そして私は彼女の足のサイズが22・5に
なったら、こっそりはいてみようと
心に決め、その日をまちわびたのであった。